Editor’s Eye TAIGA TAKAHASHI Automobile Leather Jacket
日米のヘリテージが融合した 無骨で上質なレザージャケット
ファッションアイテムや、カルチャーに関連したプロダクトなど、Silverのエディターが今気になるモノを紹介する連載企画「Editor’s Eye」。
日米のヘリテージが融合した
無骨で上質なレザージャケット
今号のテーマ「ヘリテージ」について様々な人に話を聞く中で、特定の状況の必要に応じて素材やデザインが選ばれた服は、モノとしての完成度やストーリーがどれだけ強いかと実感した。時代の変化に合わせてアップデートされつつ、受け継がれてきた歴史が男心をくすぐる。そんなヘリテージアイテムの中でもプリミティブな素材であるレザーを使ったものが欲しいと思っていた矢先に出会ったのが、タイガタカハシのレザージャケット。1910年代のアメリカ製モーターサイクルレザージャケットをベースにした無骨なデザインが男らしくて渋いし、ぶ厚くずっしりと重いレザーはどれだけ着込めば身体に馴染むのかとワクワクする。そんなレザーを13世紀から奄美大島に伝わる古代染色方法の泥染で仕上げている点が日本人として心地いいし、通常のレザーアイテム以上に経年変化が楽しみな仕上がり。服を考古学者として研究し表現したデザイナーの故髙橋大雅氏が今年4月に27歳の若さで逝去されたことが残念でならないが、文字通り遺産(ヘリテージ)となったこのジャケットには新たなヘリテージと呼べる物質としての強度やストーリーを感じた。
Text Yutaro Okamoto |