Interview with Lev Tanju & Gareth Skewis (Palace Skateboards)
国内2号店に込められた 大阪と日本文化へのリスペクト
世界のスケートカルチャーとストリートファッションの最前線で、挑戦と遊び心にあふれるクリエイティブを続けているスケートカンパニーPalace Skateboards (パレス スケートボード)。大阪の中心地である心斎橋に、日本国内では二店舗目となる旗艦店がオープンした。来日した、デザイナーで共同経営者であるLev TanjuとGareth Skewisに話を聞くと、彼らの根幹には、オリジナルへのリスペクトと自由を大切にする精神があることが見えてくる。
ー表参道に続く二つめの旗艦店をオープンするにあたり、大阪を選んだのはなぜですか?
Lev:大阪は何度か訪れたことがあって、大きなスケートシーンがある場所だと感じていました。それは僕個人に限らずスケートチームのみんなも口を揃えて言っていたこと。街中にクールなスケートスポットがあり、周りにあるお店もかっこいいお店ばかりだから刺激があります。それが大きな理由です。
Gareth:大阪のスケートシーンはとても面白いと思っていますし、日本には東京以外にも魅力的な都市がたくさんある中で、大阪は街を歩いているだけでも楽しくて特に好きな街です。
ー大阪の中でも心斎橋を選んだ理由を教えてください。
Lev:いくつかの場所を見て回りましたが、ここが一番Palaceらしさを感じられる場所だと思いしっくりきました。賑わっているエリアだけれど、メインのストリートからは少し外れていて、静かさもある。
Gareth:もちろんこの辺りにはストリートファッションも含めて良いお店が多かったことも理由の一つですが、それだけでなく、アーケードのある商店街も好きですし、商店街に面した小道も面白い。ハイブランドとヴィンテージショップ、ドラッグストアが一列に並んでいたり、その間にはとても美味しいフードショップがあったり。とても多様性を感じるし、全部がぎゅっと詰まっている“ハイ&ロー”なミックス感が最高です。
ーOSAKA”の文字のAをシグネチャーロゴに変えたスケートボードの画像で新店オープンの告知がされていたのが印象的でした。大阪店限定のアイテムがいくつかありますよね。
Gareth:どれも思い入れが強いですが、阪神タイガースとコラボしたアイテムは特に気に入っています。大阪に住む人にとって、阪神タイガースってすごく大きな存在ですよね。野球自体が日本ではすごくメジャーなスポーツですが、阪神タイガースは大阪の文化の一部で重要な存在。そんな彼らとコラボレーションできたことは本当に幸運だったと思います。
Lev:阪神タイガースはビジュアルスタイルもすごく良くて、それを自分たちのグラフィックに落とし込むことができたことはすごく嬉しいことです。キャラクターもかわいいだけでなくスポーティ。大阪限定のアイテムの中でも一番好きなアイテムです。
ー阪神タイガースとのコラボレーションはPalaceチームから声をかけて実現したのでしょうか?
Gareth:大阪のことを知るほどに、阪神タイガースがどれだけ大きな存在なのかを実感したので、ぜひコラボしたいと思い、僕たちから連絡しました。すると彼らはすごくオープンマインドで、アイディアに応じてくれたんです。新しくオープンする大阪店のために特別なことがしたい、という気持ちがあったので、実現できて本当に良かったと思います。
Lev:アイテムを着用してスナップを撮らせてもらったファンの皆さんも、熱意があって素晴らしかった。すごく美しい文化だと思いました。
ー他の限定アイテムについても教えてください。
Lev:大阪で有名な蟹のモチーフを使ったアイテムも気に入っています。獅子と花のグラフィックは、有名な寺院にあるオブジェからインスピレーションを受けたもの。色合いも含めて大阪に対するリスペクトを込めてデザインしました。
Gareth:ロンドンのブランドとして、他の国々でも展開していくからには、その土地の文化を尊重したいと思っています。大阪や日本の人たちに、僕たちが日本文化を理解し、それをとても愛しているということを伝えたい、という気持ちで、何よりもリスペクトを大事にしながらクリエイティブをしています。
ー外装や店内のディレクションに、他の店舗との違いはありますか?
Gareth:東京の店舗と異なる点は、よりいっそうシンプルな素材使いにこだわったところ。日本産の木材とレンガやコンクリートを使い、ブルータリズム建築のような雰囲気を取り入れました。スチール製の階段も全体のデザインに合っていて気に入っています。阪神タイガースとのコラボとも通じますが、日本や大阪の伝統的なスタイルに寄せて素材を使ったところは、強くこだわった部分です。
Lev:大阪は街中に巨大なサイネージ広告が多いので、それをお店の中でも再現しています。1階から2階まで突き抜けている巨大なスクリーンが“見せ場”です。
ー大きなPロゴのオブジェや、2階のブルドッグの彫刻もインパクトがありますね。
Lev:2階に置いているブルドッグの彫刻はドーバー ストリート マーケット ギンザと韓国の店舗にも置いているのですが、大阪店のものは中でも特に好きなスタイリングに仕上がりました。これまでのコラボレーションアイテムを組み合わせて身につけています。これまでブルドッグに着せてきたスタイリングのバリエーションの中でも、ダントツでスマートでかっこいいコーディネートだと思います。
Gareth:大きなPロゴのオブジェもとても気に入っています。広くて整理された空間の中に、大きなものを置くのはとても気持ちがいいですね。
ー何度も来日されているとのことでしたが、日本で好きなブランドや気になるカルチャーはありますか?
Gareth:僕たちはクラシックなものが好きなんです。COMME des GARÇONSやJUNYA WATANABE、UNDERCOVERは、ずっとかっこいいものを作り続けていて尊敬しています。あとは、娘がずっとスタジオ・ジブリに熱中しているので、ここ数年でたくさんの作品を一緒に観ました。最も好きな作品を聞かれると多すぎて選ぶのが難しいけれど、とてもかっこいいアニメーションだと思います。それに、日本はビールもハイボールも最高で、世界中のどこで飲むものよりも美味しいと思う。
Lev:アーティストでは奈良美智の作品がすごく好きで、今ロンドンでも展示をしているので観に行こうと思っています。あと日本に来ると必ず行くのはローソンかな。全てが揃っていてワクワクする場所です。
Gareth:ファッションはもちろんのこと、アートや食べ物に関しても、すごくユニークな文化がありますよね。どれも本当に個性的で独自の世界観があるので、その全てにリスペクトを持ちながら楽しみたいと思っています。
PALACE SKATEBOARDS OSAKA
大阪府大阪市中央区南船場3-3-21 心斎橋 M&Mビル
06-4708-6770
Photo Yota Hoshi | Interview & Text Aya Sato |