LA Favorite Places
カイル・ウンが薦めるLAのギークで クリエイティブな5つのショップ
Kyle Ng (Brain Dead Designer)
Marionette Theater
LAのクリエイティブを体現する
マリオネットシアター
ブレインデッド・スタジオでは映画館を併設したり、プロレスイベントや音楽イベント、アウトドアの非営利団体を運営していたりとロサンゼルスのサブカルチャーシーンの顔役であるカイル・ウン。そんな彼がおすすめしたお店は地元の人でも知らないようなマニアックなお店ばかりだった。「決して、流行りの店ではないかもしれないけれど、昔からロサンゼルスに存在して何かに特化したお店を今回は紹介したい」と言いながら、まず教えてくれた場所がボブ・ベイカー・マリオネットシアター。ここは人形劇の存続に尽力し、人形作りから人員の育成、アニメーション作りなどを手掛けてきたボブ・ベイカーが1963年にダウンタウンにオープンしたアメリカの中でも歴史のあるパペットシアターで、ダウンタウンの劇場は2018年に閉館してしまったが、今はハイランドパークにて100年前にあった無声映画館の建築を改装して2019年に現在の場所へ移転。ファンタジーの世界に迷い込んだような内装も魅力的だが、バックヤードにある歴史ある人形を修理したり美術を製作するアトリエもポイント。「現代のテクノロジーの時代だからこそ、1つ1つが手作業によって作られているエンターテイメントは素晴らしいし、シアターの雰囲気も本当に美しい。過去には、ブレインデッドのビジュアルをここで撮影したこともありました。今度はミュージシャンのフェイ・ウェブスターのMVを僕がディレクションしてここで撮影をするんです。ロサンゼルスというと華やかな世界のイメージがありますが、陰ではその世界を支える熱意あるクリエイティブな人たちが沢山いる街でもあるのです。まさに、マリオネットシアターはそれを物語っていると思います(カイル)」。
at Highland Park
Bob Baker Marionette Theater
4949 York Blvd, Los Angeles, CA
@bobbakermarionettes
行きつけのダイナーで食す
最高のチキンとスパゲッティ
アメリカの夕食の場所といえばダイナーである。数々のハリウッド映画の名シーンでもダイナーを舞台にしているからか、ダイナーが持つインテリアや店員の雰囲気、料理などはほかの国にはない魅力を放つ。「車社会である西海岸のダイナーというのはニューヨークとは違って、車で行くことを前提にしているので、早朝から深夜まで長い時間オープンしているお店が多いです。僕が一番好きなダイナーが、このロス・フェリスにあるハウス・オブ・パイ。ここはブロスターチキンという圧力をかけて揚げるフライドチキンが最高で、いつもスパゲッティと一緒に頼んでいます。ここのスパゲッティは、アメリカの家庭で作られるような優しい味わいが魅力です。本場のイタリア人を連れて行ってもみんな美味しいって言ってくれるほど。東京の北参道にあるスパゴの“うにパスタ”も最高ですが、それと並ぶくらいここのスパゲッティが好きなんです。このお店は、いつ来てもヒップな若者や教会帰りの人、ハードコアシーンの人、近所のおじいちゃんなど、いろいろな人が思い思いに食事を楽しんでいる場所であるというところも魅力です(カイル)」。
at Los Feliz
House of Pies
1869 N Vermont Ave, Los Angeles, CA
@houseofpies
Comics and Pinball
ギークでクールなSF空間で
遊ぶアメリカンピンボール
3店舗目にはアニメ、フィギュアなどギークカルチャーにも造詣が深いカイルならではのスポットをあげてくれた。グラッセルパークに位置する、リベンジオブ。漫画やフィギュアが所狭しと置かれた店内を奥へ進むと広がるピンボールのエリアが面白い。映画“エイリアン”に出てくる宇宙船“ノストロモ号”にインスパイアされたSFチックな内装の中でエキサイティングなピンボールを楽しめる。「毎週、水曜日にブレインデッドチームや仕事仲間でここにピンボールを打ちにくるんです。映像のセットデザイナーが作ったお店で、とにかく雰囲気が良い。仕事の後にここに来てひとしきり遊んだらハウス・オブ・パイに行くというのが僕たちの水曜日の定番です(カイル)」。
at Glassel Park
Revenge Of Comics and Pinball
3420 Eagle Rock Blvd Unit #1, Los Angeles, CA
@revengeof_comicsandpinball
遊びのしめに食す
タイ発祥の魅惑の菓子
タイ料理のレストランや食品店が集まるタイタウンにある、商業施設“ニュー・ハリウッド・プラザ”内にある菓子店が“バーンカノム タイ”。一歩店に入れば、まさに東南アジアの商店に入ったような雰囲気が広がる。ポッキーなど見慣れた菓子もあれば、どういった味がするのか食べてみないとわからないような菓子などが多く陳列されている。オーダーして作ってもらう菓子もあり、取材日も近くで食事を終えたマダムたちが甘味を求めて訪れていた。「このお店のローティサーイマイという菓子がすごく好きなんです。エンジェルヘアーパスタのように細い綿菓子を束ねて、クレープのような生地で包む食べ物ですが、適度に甘くてとても美味しい。リベンジオブでピンボールを打って、ハウス・オブ・パイで夕食を取り、バーン カノム タイでローティサーイマイを食べる。これが完璧な流れなんです(カイル)」。写真で、スタッフが見せてくれているのがカイルの好物であり、ブラックピンクのリサもインスタグラムのストーリーで投稿をしていたことで話題になったローティサーイマイ。食べてみると確かに止まらなくなる素朴な甘さ。中身と生地を別々で買い、自分で何本も巻いて食べてしまうくらいの美味しさに驚くとともに改めてカイルのセンスに魅了された。
at Thai town
Bhan Kanom Thai
5271 Hollywood Blvd, Los Angeles, CA
@bhankanomthai
豊かな知識を授けてくれる
昔ながらの釣具屋
釣りが趣味で、休日には自宅から近いロサンゼルスリバーによく行くというカイル。海や川に恵まれているロサンゼルスには多くの釣具屋はあるが、カイルが最も好きなお店はパサデナという少し離れた地域にあるジョニーズスポーツショップ。「日系のアメリカ人がやっているお店で、とにかく知識があって色々なことを教えてくれる。昔ながらの釣具屋の雰囲気がこのお店にはあり魅力的です(カイル)」。1984年からオープンしているこの釣具屋では、今は創業者であるジョニーの息子ロバート・オオタと甥のウォーレン・ウツノミヤの2人で経営をしている。ダイワやシマノといったお馴染みの釣具メーカーから日本では目にすることのない釣具など所狭しと置かれた店内は、釣り人なら興奮を抑えきれないだろう。そしてこのお店の何よりの魅力は、ボビーという通称で呼ばれるロバートの長年蓄積された豊富な知識だ。ボビーにアドバイスをもらおうとアラスカやメキシコ、アマゾンへ釣行する前に訪れるお客さんも多いようだ。
at Pasadena
Johnny’s Sport Shop
1402 Lincoln Ave, Pasadena, CA
Photo Asato Iida Translate Aya Muto | Coordinate Daiki Fukuoka Illustration Takuya Kamioka | Interview & Text Takayasu Yamada |