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カイル・ウンが薦めるLAのギークで クリエイティブな5つのショップ

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Kyle Ng (Brain Dead Designer)

ブレイン デッド創設者でありデザイナー。映画や音楽、コミックからクライミング、釣りなどアウトドアに至るまで多趣味。様々なカルチャーを通したクリエイションに国内外でファンが多い。また、自身が影響を受けたカルチャーを支援する為の活動も幅広く行う。
Bob Baker
Marionette Theater
LAのクリエイティブを体現する
マリオネットシアター

取材当日は、ナッツベリーファームという遊園地で行われる大型講演を控えていたために普段使っていない人形の動かし方を入念に確かめるなど真剣に練習をしていた人形師たち。

時を経て劣化した人形を修理したり、型をとって新しく作り直すなどの作業も劇場の裏にあるアトリエで行われている。

クラシックな劇場でベンチに座りながら、今度撮影するMVの打ち合わせをプロデューサーと行うカイル。

おじさんの人形は、ヴィンテージのアニマトロニクス。コンピューターによって制御され、信号によって体や口が動く。過去にコロラド銀行のキャラクターとして使用されていたものだが彼らが引き取り、劇が始まる前に内容の説明をする役として抜擢しようと修理中。

ブレインデッド・スタジオでは映画館を併設したり、プロレスイベントや音楽イベント、アウトドアの非営利団体を運営していたりとロサンゼルスのサブカルチャーシーンの顔役であるカイル・ウン。そんな彼がおすすめしたお店は地元の人でも知らないようなマニアックなお店ばかりだった。「決して、流行りの店ではないかもしれないけれど、昔からロサンゼルスに存在して何かに特化したお店を今回は紹介したい」と言いながら、まず教えてくれた場所がボブ・ベイカー・マリオネットシアター。ここは人形劇の存続に尽力し、人形作りから人員の育成、アニメーション作りなどを手掛けてきたボブ・ベイカーが1963年にダウンタウンにオープンしたアメリカの中でも歴史のあるパペットシアターで、ダウンタウンの劇場は2018年に閉館してしまったが、今はハイランドパークにて100年前にあった無声映画館の建築を改装して2019年に現在の場所へ移転。ファンタジーの世界に迷い込んだような内装も魅力的だが、バックヤードにある歴史ある人形を修理したり美術を製作するアトリエもポイント。「現代のテクノロジーの時代だからこそ、1つ1つが手作業によって作られているエンターテイメントは素晴らしいし、シアターの雰囲気も本当に美しい。過去には、ブレインデッドのビジュアルをここで撮影したこともありました。今度はミュージシャンのフェイ・ウェブスターのMVを僕がディレクションしてここで撮影をするんです。ロサンゼルスというと華やかな世界のイメージがありますが、陰ではその世界を支える熱意あるクリエイティブな人たちが沢山いる街でもあるのです。まさに、マリオネットシアターはそれを物語っていると思います(カイル)」。

at Highland Park

Bob Baker Marionette Theater
4949 York Blvd, Los Angeles, CA
@bobbakermarionettes

House of Pies
行きつけのダイナーで食す
最高のチキンとスパゲッティ



店名の通りパイが名物のお店ではあるが、カイルのおすすめはスパゲッティとブロスターチキン。スパゲッティにはトーストが付き、チキンにはポテトやサラダが山盛りで提供されてくるあたりもまさにアメリカンダイナー。スパゲッティはカイルが言う通り優しい味わいで、チキンは外はカリッと中はジューシー。

アメリカの夕食の場所といえばダイナーである。数々のハリウッド映画の名シーンでもダイナーを舞台にしているからか、ダイナーが持つインテリアや店員の雰囲気、料理などはほかの国にはない魅力を放つ。「車社会である西海岸のダイナーというのはニューヨークとは違って、車で行くことを前提にしているので、早朝から深夜まで長い時間オープンしているお店が多いです。僕が一番好きなダイナーが、このロス・フェリスにあるハウス・オブ・パイ。ここはブロスターチキンという圧力をかけて揚げるフライドチキンが最高で、いつもスパゲッティと一緒に頼んでいます。ここのスパゲッティは、アメリカの家庭で作られるような優しい味わいが魅力です。本場のイタリア人を連れて行ってもみんな美味しいって言ってくれるほど。東京の北参道にあるスパゴの“うにパスタ”も最高ですが、それと並ぶくらいここのスパゲッティが好きなんです。このお店は、いつ来てもヒップな若者や教会帰りの人、ハードコアシーンの人、近所のおじいちゃんなど、いろいろな人が思い思いに食事を楽しんでいる場所であるというところも魅力です(カイル)」。

at Los Feliz

House of Pies
1869 N Vermont Ave, Los Angeles, CA
@houseofpies

Revenge Of
Comics and Pinball
ギークでクールなSF空間で
遊ぶアメリカンピンボール

宇宙船の内装と照明によって没入感のあるピンボールが楽しめる。ゴジラ、ストレンジャーシングス、スターウォーズなど日本人にも馴染み深い作品のピンボール機のほか、クラシカルなゲーム機も揃う。

店内にはアメコミから日本の漫画のUS版など多くの単行本、雑誌が揃う。冷蔵庫を改装した棚で雑誌が並んでいるのも面白い。レジ前にはドリンクや軽食も販売されており、何時間でも居られる空間だ。

3店舗目にはアニメ、フィギュアなどギークカルチャーにも造詣が深いカイルならではのスポットをあげてくれた。グラッセルパークに位置する、リベンジオブ。漫画やフィギュアが所狭しと置かれた店内を奥へ進むと広がるピンボールのエリアが面白い。映画“エイリアン”に出てくる宇宙船“ノストロモ号”にインスパイアされたSFチックな内装の中でエキサイティングなピンボールを楽しめる。「毎週、水曜日にブレインデッドチームや仕事仲間でここにピンボールを打ちにくるんです。映像のセットデザイナーが作ったお店で、とにかく雰囲気が良い。仕事の後にここに来てひとしきり遊んだらハウス・オブ・パイに行くというのが僕たちの水曜日の定番です(カイル)」。

at Glassel Park

Revenge Of Comics and Pinball
3420 Eagle Rock Blvd Unit #1, Los Angeles, CA
@revengeof_comicsandpinball

Bhan Kanom Thai
遊びのしめに食す
タイ発祥の魅惑の菓子



タイ料理のレストランや食品店が集まるタイタウンにある、商業施設“ニュー・ハリウッド・プラザ”内にある菓子店が“バーンカノム タイ”。一歩店に入れば、まさに東南アジアの商店に入ったような雰囲気が広がる。ポッキーなど見慣れた菓子もあれば、どういった味がするのか食べてみないとわからないような菓子などが多く陳列されている。オーダーして作ってもらう菓子もあり、取材日も近くで食事を終えたマダムたちが甘味を求めて訪れていた。「このお店のローティサーイマイという菓子がすごく好きなんです。エンジェルヘアーパスタのように細い綿菓子を束ねて、クレープのような生地で包む食べ物ですが、適度に甘くてとても美味しい。リベンジオブでピンボールを打って、ハウス・オブ・パイで夕食を取り、バーン カノム タイでローティサーイマイを食べる。これが完璧な流れなんです(カイル)」。写真で、スタッフが見せてくれているのがカイルの好物であり、ブラックピンクのリサもインスタグラムのストーリーで投稿をしていたことで話題になったローティサーイマイ。食べてみると確かに止まらなくなる素朴な甘さ。中身と生地を別々で買い、自分で何本も巻いて食べてしまうくらいの美味しさに驚くとともに改めてカイルのセンスに魅了された。

at Thai town

Bhan Kanom Thai
5271 Hollywood Blvd, Los Angeles, CA
@bhankanomthai

Johnny’s Sport Shop
豊かな知識を授けてくれる
昔ながらの釣具屋


大物釣り用のタックルを持つロバート・オオタとウォーレン・ウツノミヤ。気さくに何でも教えてくれるのでカリフォルニアで釣りをする際は訪れたい。

釣りが趣味で、休日には自宅から近いロサンゼルスリバーによく行くというカイル。海や川に恵まれているロサンゼルスには多くの釣具屋はあるが、カイルが最も好きなお店はパサデナという少し離れた地域にあるジョニーズスポーツショップ。「日系のアメリカ人がやっているお店で、とにかく知識があって色々なことを教えてくれる。昔ながらの釣具屋の雰囲気がこのお店にはあり魅力的です(カイル)」。1984年からオープンしているこの釣具屋では、今は創業者であるジョニーの息子ロバート・オオタと甥のウォーレン・ウツノミヤの2人で経営をしている。ダイワやシマノといったお馴染みの釣具メーカーから日本では目にすることのない釣具など所狭しと置かれた店内は、釣り人なら興奮を抑えきれないだろう。そしてこのお店の何よりの魅力は、ボビーという通称で呼ばれるロバートの長年蓄積された豊富な知識だ。ボビーにアドバイスをもらおうとアラスカやメキシコ、アマゾンへ釣行する前に訪れるお客さんも多いようだ。

at Pasadena

Johnny’s Sport Shop
1402 Lincoln Ave, Pasadena, CA

Photo Asato Iida
Translate Aya Muto
Coordinate Daiki Fukuoka
Illustration Takuya Kamioka
Interview & Text Takayasu Yamada

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