BODE LOS ANGELES
服を買うだけではない ボーディならではの店作り
コンセプトは
昔の自然史博物館
1850年代のキルト、1920年代のデッドストックのドレス生地やテーブルクロス、インド北部で受け継がれる貴重なシルクなど、世界中から集めたストーリー溢れる古布をハンドメイドでアップサイクルしたものづくりが賞賛されているブランド「ボーディ」。エミリー・ボーディがニューヨークで始めたこのブランドは瞬く間に話題となり、日本国内のセレクトショップでも目にすることが増えてきた。2022年にロサンゼルスにオープンした旗艦店も、そんなボーディの世界観が細部にまで詰まっている。お店があるメルローズアヴェニューは新しいカルチャーの発信地として若い人たちで賑わうエリア。カラフルでグラフィカルなお店が多い中で、対照的なクリーム色で統一された落ち着きある外観が印象的だ。ブラインドも閉じられており、目当てにして訪れなければ通り過ぎてしまうであろう。 その佇まいはまるで隠れ家のようでさえもある。いざ扉を開けて中に入ると、外からは想像もつかない280平米もの抜け感がある空間が広がっている。アメリカンウォールナットを贅沢に使った特注のキャビネットやむき出しの木の梁、そして古布を張ったベンチがボーディらしく、モルタルの床と白い漆喰の壁と相まって、温かみのあるモダンでクリーンな空間として整理されている。空間デザインを手掛けたのはデザイン事務所「グリーンリバー・プロジェクト」の創設者であり、エミリーの夫でもあるアーロン・アウジュラだ。アーロンがデザインのコンセプトとしたのは「昔の自然史博物館」。先述したインテリアに加えて、そびえ立つ岩山や生命力溢れる珊瑚が生える海中を描いた絵画、シャコガイのような大きな貝殻やドードー鳥の骨格を模した石膏像、そして実際の自然史博物館から譲り受けたマストドン(原始的なゾウ類)の肋骨までが整理され展示されている。これらは自然界の美しさや遺産を比較として置くことで、インテリアとしてだけでなく、ファッション界の過剰消費や自然破壊を警告もしている意図があるという。
服はネットでも買える時代だからこそ、現代の実店舗は単なる小売店としてではなく、わざわざ足を運んででも体感したい何かがある場所となることが求められつつある。ボーディはお店を“博物館”や“学校”のような空間にしたことで、自分たちが大切にする価値観や歴史を会話を通してお客さんに伝える交流スペースを生み出したのだ。現代社会は“持続可能性”を謳い文句のように掲げているが、ボーディのものづくりは間違いなくその成功例の一つであるし、その哲学が空間となったお店もまた習うべきことが多く詰まっていた。
at Melrose
Bode Los Angeles
7007 Melrose Ave, Los Angeles, CA
Photo Shunya Arai | Coordinate Megumi Yamano | Text Yutaro Okamoto Edit Shohei Kawamura |