MYKITA (Moritz Krueger)
アイウエアに込められた モダンクラフツマンシップ
完璧なプロダクトを作り出す
さまざまなクラフトとの出会い
超軽量フレームに、ネジを使わない特殊構造のヒンジなど、卓越した技術と絶え間ないイノベーションで、常にデザインとテクノロジーの最先端を走り続けるマイキータのアイウエア。数え切れないほど存在するアイウエアブランドの中でも近年ひと際大きな注目を浴び、多くのファンを魅了し続けている、クラフツマンシップの息づく国ドイツ発のブランドだ。ひとつひとつのクラフトと真摯に向き合い、美と技術の融合を追求するマイキータの創立者であるモーリッツ・クルーガー。彼はモダンクラフツマンシップと呼べるマイキータのプロダクトにどのような想いを込めているのだろうか。
「私たちが真の目的としているのは、アイウエア作りの全てに対して誠実に向き合うということです。最上級の機能を持って、長く使うことができ、美的観点からも時代を超越する。そしてトレンドや季節感に左右されない製品を生み出す。私たちにとってのモダンクラフツマンシップとは、脈々と受け継がれてきたクラフトや新しいテクノロジー、素材の融合であり、それらを全て熟知した上でどう新しい製品を作るかなのです」。
素材、構造、テクノロジー、そして熟練した職人たちが持つ技術と感覚に対する絶対的な敬意。マイキータが世に出すプロダクトは、そこから生まれている。デザイン、研究開発、製造のすべてが密接に繋がっていることが徹底したクオリティ追求と革新の精神を生み、アイウエアに忠実に表現されている。そんなマイキータのアイウエアを語る上で欠かすことができないのが、ブランド最大の特徴である「スパイラルヒンジ」。ネジを一切使用せずにフロントとテンプルを渦巻き状のヒンジで連結し、独特のスムーズな開閉機能に加え、かける人に合わせた細かな調整を可能としている。この革新的なデザインは、素材や職人技術、テクノロジーと真摯に向き合ってきたマイキータだからこそ生み出すことができたものだった。その出発点は素材選びから始まった。多くの素材をリサーチした後に、やがてたどり着いたのがステンレススチール。ステンレススチールは、耐久性に優れていて非常に軽量で柔軟性があり、正しい方法で適切に使用すれば求めていた全ての機能を実現できる最高の素材だったのだ。しかし、これまでに持っていた知識では限界があった。
「通常のアイウエアは、テンプル、ブリッジ、パッド、リムなど様々な部品を様々な素材で作り上げ、ネジやハンダで接合して完成させますが、その従来の方法は私たちの意図するところではなかった。ネジを1つも使わず1枚のステンレスシートからフレームすべてを作り上げることが目的でしたから」。
美とテクノロジーを纏った次世代アイウエアマイキータ
そこで必要となったのが、最新技術と職人の手作業による緻密なクラフツマンシップとの融合。最先端のテクノロジーを用いてステンレススチールを1枚の超薄型シートに引き伸ばし、レーザーカッターで切り取り、エッチングを施す。そしてそこに職人の手を加え、まるで折り紙のようにテンプルの先をスパイラル状に折り曲げ、立体化する。そういった現代の技術と伝統的な技術の絶妙なコンビネーションが、長時間かけても疲れにくく、ズレにくい、さらには異なる顔の形や好みに合わせて自由自在にサイズをアジャストできるという機能性を生み出した。また、高い機能性を誇るスパイラルヒンジをむき出しにしたありのままの姿は、デザインとしても美しい。究極の機能美を追求し、ミニマルなレンズシェイプやカラーリングなどシンプルな中にも洗練されたルックスは、アイウエアの常識を覆したのだ。美しいモダンデザインと世界に衝撃を与えた機能性、それを高い技術で具現化するクラフツマンシップ。それらを融合させシンプルに表現されたマイキータのアイウエアは、まさにモダンクラフツマンシップというテーマを具現化したプロダクトといっても過言ではない。
プロダクトの進化に繋がる
新たなインスピレーション
その高い機能やデザイン性によりジャンルの垣根を超えた他業界からも高い注目を集めるマイキータ。数々のファッションブランドとも積極的にコラボレーションを行なっていることでも知られている。どうしてもライセンス上の問題でブランドのアイデンティティを忠実にアイウエアに表現できなかったり、ディストリビューションが上手くいかなかったりすることもあるが、マイキータは柔軟なアプローチでそういった問題にも実直に向き合う。それはコラボレーション相手のパートナーたちから新たなアイディアやインスピレーションを得ることが、マイキータを進化させると知っているからだ。そんな数多くのコラボレーションの中でもマイキータのプロダクトに共鳴したメゾンマルジェラとのタッグは、2014年以降定番のコラボレーションとなっている。
「私にとってマルジェラは、過去30年間で最も重要かつ影響力のあるファッションハウスの一つです。90年代のファッションを築き上げたマルジェラがファッションの歴史に残した多大なる影響や、ほかとは一線を画すデザインコンセプトとマイキータのクリエイションを結びつけるのは難しくはありませんでした。強いブランドのアイデンティティが、新たなアイディアを生み出し、新たなテクノロジーとしてマイキータのプロダクトに注ぎ込まれているのです。これまでにマルジェラとリリースしてきた数々のコレクションは、独自のユニークなコンセプトで製作されており、両者の特色がデザインとして明確に表現されているのです」。
そう語られるようにマイキータにとってコラボレーションとは、さまざまなクリエイティブなブランドと化学反応を起こしながら新たなアイディアを創造する場であり、互いの技術やクリエイションを高め合い、常識を打ち破るプロダクトを作る為の実験の場としても機能しているようだ。また、モーリッツ本人も夢のようだったと話すのが、多くの写真家を魅了してきた世界的カメラブランドであるライカとのコラボレーション。ドイツ生まれの両者が培ってきた高い技術を集めて共同開発されたコラボレーションサングラスと眼鏡は、デザインとクラフツマンシップを象徴するアイテムだ。
「ライカとのコラボレーションは、マイキータにとって最も重要なコラボレーションでした。ライカが持つ歴史、プロダクトの素晴らしさには敬意しかありません。ライカのカメラに使用されるレンズと同じ工程で共同開発されたオーガニックレンズは、まさに技術移転と言えるでしょう」。
常に限界に挑む両ブランドの革新的な創造性とオリジナリティを具現化し、ほかでは見ることのできない高度な技術を基にプロダクトとして新たな世界観を生み出した。ほかにもベルンハルト ウィルへルム、アンブッシュ、ダミール ドーマなどといった時代の最先端を行くブランド達と共にプロダクトを手掛け、表現の場を広げている。いくつもの異なるジャンルからインスピレーションを得て、様々なデザインやクリエイションと向き合いながら進化を続けるマイキータ。その強い探究心がまた新たなモダンクラフツマンシップの精神が宿ったプロダクトを生み出すのだ。
柔軟な視点を持ちながら物作りを行っているマイキータにとって、人との繋がりはブランドの原動力と言っても過言ではない。様々な出会いがクリエイティブを豊かにし、新たな化学反応を生み出しているのだ。ここではそんなマイキータのプロダクトに厚い信頼を寄せるクリエイターを紹介する。
Design Store Founder
顔に自然と馴染む究極のアイウエア
「ベルリンにあるマイキータの本社を訪れた際に、自分の顔に合わせてカスタムメイドで作ってもらったMYKITA MYLON collectionの『COLEMAN』というモデルのサングラスを普段から使ってます。マイキータとの出会いは、まるで神からの贈り物のようでした。2016年以来、毎日のように愛用していて、旅行やレジャーに行く時も必ず着用しています。通常のアイウエアは、長時間かけているとテンプルやパッドが皮膚に食い込み、痕や痛みを伴います。しかし、このサングラスは着用していることを忘れてしまうくらい驚くほど軽量なんです。また、マイキータのコラボレーションが表現する世界観にも惹かれます。タイムレスなシェイプでありながら最高の品質と耐久性を兼ね備えたクラフツマンシップ、そして顔にスッと自然に馴染むモダンなルックスは、まさに私が探し求めていた究極のアイウエアです」。
アンドレアス・ムルクディス
独自の審美眼でトレンドを次々と予測してきたベルリン随一のコンセプトストア、アンドレアスムルクディスの創立者。彼のキュレーションによる洗練された空間はベルリンのファッションシーンに大きな影響を与えている。
MYKITA MYLON “COLEMAN”
3Dプリント技術で加工し、非常に軽量で耐久性に優れた素材であるマイロンを使用した「COLEMAN」。ベルリンにあるマイキータの本社でカスタムメイドでオーダーメイドした一本は、顔に自然と馴染むそのタイムレスなデザインがお気に入り。
Designer
エレガントな機能美と共に読書を楽しむ
「読書をする時に『TOMKIN』と名付けられたアイウエアを老眼鏡として使っています。余分な装飾のないデザインは、デイリーに使用することができ、私にとって特別なフレームです。また、繊細なスパイラル状のヒンジが演出するエレガントな機能美、そして機能と美学のバランスが絶妙に見出されているのも気に入ってるポイントでもあります。研究開発から製品化されるまで、そのデザインプロセスに込められたハードワークは私自身のクリエイションにも大きな影響を与えています。それはデザインの背後にある高い技術やクラフトが魅力となるような努力が、あらゆるデザインの側面で解決策を導いてくれると再認識させてくれた。マイキータとの出会いはデザイナーとしての仕事がきっかけでした。それ以来モーリッツとは友達になり、私がデザインした作品も彼の家にいくつか置いてくれているんです。
カトリン・グライリング
ストックホルムとベルリンを拠点に、家具やインテリア、フォトグラフィーを専門とするデザインオフィス、スタジオグライリングの創設者兼デザイナー。その多岐に渡るデザインスキルを組み合わせた広いクリエイションは、世界中から注目されている。
MYKITA LITE “TOMKIN”
軽量のステンレススチールと極細のアセテートを使用した「TOMKIN」。ナチュラルな表情のシンプルなフレームが、落ち着いた雰囲気を演出。日常使いとして読書を楽しむ際に老眼鏡として使っているという。
◯MYKITA(MYKITA JAPAN)
https://mykita.com/en/shops/tokyo
Photo Toru Oshima | Interview & Text Shunya Watanabe |