Why Choose Leather Shoes? Interview with Keiji Kaneko
履き続けることが 最高のシューケア

PLACE: TOKYO
この靴に出会ったきっかけはお店用の買い付けのときだったという。「数ある定番の靴のうちの1つであるシングルモンクがふと気になり、その癖と嫌なところの無さが刺さりました。ファッションの邪魔をしないんですよね。どこへ行くにも履いていけて、クラークスのデザートブーツの大人版のような存在です」と金子は語る。
「自然体な格好良さ」。金子が履くジャコメッティのシングルモンクは、そんな表現がしっくりくる。スウェードならではの起毛が織りなす立体感が、ブラウンに深みのある色合いをもたらしている。この美しい色味も、彼が気に入っているポイントだという。「スウェードという素材が僕にはすごく都合がいいんです。レザーって手入れしないとみすぼらしく見えてしまったり傷や汚れが目立ってしまったりしますが、スウェードだとあまり気にならなくて。今日もわざと何も手入れをしないで履いてきました。むしろこれはずっと手入れをせずに履いているので、自然体として愛着が増しています。小さな汚れや傷はブラッシングしたらすぐ取れちゃうんですよね」。レザーシューズを育てるのは何もシューケア用品だけではない。履き続けるうちに新品の硬さが馴染んできて、その人の歩き方や体重の掛け方を記憶していく。時に雨に打たれることさえ苦ではないと金子は語る。
「大体のものは傷や汚れが付いてからこそやっと自分のものになったような気持ちになります。若い頃はとにかく大切に頻繁に磨いたりしたのですが。気軽にもっと好きなように履いた方がいいんじゃないかなって不意に思い始めたんです。だからシューケアは何か修理する時に靴屋さんに合わせて磨いておいてもらうぐらいで、普段は持っているほとんどの靴は何もしていません」。金子は歩き回る事が多い海外出張の際も革靴を選ぶ姿勢を崩さない。このジャコメッティは1度ソールに穴が空いてオールソール交換をしたほど、仕事の際も、プライベートでもよく履いてきたという。「あまりラバーの裏張りをするのは好きではないのですが、よく履く靴は全部ラバーを張っていて。このジャコメッティもラバーを張ってからさらに履きやすくなりました。見せるためのものというよりは、便利な道具みたいな感覚。けれどレザーシューズを履いていると、ちゃんとしてるように見えるというか。そんな道具としての使い易さとアイテムとしての美しさから、どこへ行くにもつい玄関で選んでしまう存在です」。
金子にとってレザーシューズを選ぶことはあまりに自然なこと。「レザーシューズに対するハードルを下げたい」と言う彼の一足は、決して肩肘を張ること無く完璧に整えていないからこそ出る味わいと存在感がある。レザーシューズは彼にとって自分のスタイルを表すアイテムであり、実用性のある道具でもある。

MODEL: FG498
絶妙な丸みとすっきりと伸びたトゥシェイプで、イタリア靴らしい色気がありドレスシューズの美しさとローファーのような抜け感を兼ね備えた、「ドレスカジュアルの最高峰」と評価されるジャコメッティの名作靴。ハンドソーングッドイヤー製法で仕立てられ、広めの履き口が脱ぎ履きしやすく、履き心地も金子の足に合っているようだ。
金子恵治
セレクトショップ「L’ECHOPPE」の立ち上げを経て独立。2023年に北青山に「BOUTIQUE」をオープン。ディレクション、バイイング、販売に携わるほか、自身のブランド「FOUNDOUR」を手掛けるファッションディレクター。
| Photo Naoto Usami | Interview & Text Maki Kinoshita |












